神経とは無関係な「椎間関節由来の痛み」についての実験

ある実験の内容をお伝えします。

1954年、カルフォルニア医科大学
神経解剖学部門のB.Feinsteinは75人の医学生と
3人の研究助手を被験者として、
交感神経と体性神経に麻酔注射をし、
椎間関節に高張食塩水を注入、
椎間関節由来の関連痛の影響を調査しました。

その結果、麻酔下にも関わらず、
四肢や体幹に痛みを訴えることが分かり、
椎間関節由来の痛みは
体性神経と自律神経とは無関係である
という結論に至っている．

また、博田節夫医師によれば
「関節内運動を改善すると、
その部位の痛みが著減するものがある。
椎間関節治療により消失する痛みは
単に体幹にとどまらず四肢にまで及び、
各椎間関節は一定の領域に関連痛を起こすことが判明した。」
としている。

つまり、椎間関節からは
神経とは無関係に痛みを伝える
なんらかの機構があると
70年以上前にわかっていたのです。

この実験は70年以上前の実験です。

この実験がなぜ重宝されるかというと
ヘルシンキ宣言以前の実験だからです。

ヘルシンキ宣言とは
1964年に世界各国の人体実験を
禁止すると定めた宣言であり、
これ以降”ヒト”を使った実験は激減し、
動物実験へと置き換わってきています。

ある動物実験によると、
DNAの型が99％ヒトと一致するチンパンジーの
錐体路(運動の神経経路)を
切断しても麻痺が生じなかった
という実験がありました。

このようにヒトの身体は
ヒトでしか分からないことが多く、
Feinsteinの実験がもたらした影響は
現代におけるまで非常に価値のある発見です。

椎間関節に起こる「関節機能障害」は
様々な部位に痛みを引き起こします。